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Q1. バイオマスとは何ですか?

バイオマス(biomass)とは、「生物系」(bio)の「固まり・量」(mass)ということで、有機性の廃棄物のことを言います。ただし、化石資源は除きます。近年、バイオマスを資源として活用しようという動きが活発になってきています。

Q2. バイオマスはどんなところにあるの?

バイオマスは生物系の廃棄物ですから、山、海、湖、農地、都市の公園など、家畜、昆虫などの動物がいるところや、草、木、花などの植物が植わっているところであれば、どこにでもあります。

Q3. バイオマスにはどんな種類がありますか?

バイオマスには様々なものが含まれています。そのためいろいろな分類の方法があります。たとえば、発生する場所によって、陸地系バイオマス、水域系バイオマス、農林水産系バイオマス、廃棄物系バイオマスといった形で分類されることもありますし、また、利用状況に応じて、廃棄系バイオマス、未利用バイオマス、資源作物といった形で分類されることもあります。その他、利用技術との関連で見ると、乾燥系(ドライ系)か、含水系(ウェット系)か、といった形態で分類されることがあります。それぞれ以下のようなものが含まれます。

バイオマスの発生場所による分類
分類特徴内容
陸地系バイオマス 陸地にあるバイオマス さとうきび、米、とうもろこし、さつまいも、広葉樹、針葉樹、菜種、落花生、大豆など
水域系バイオマス 水中にあるバイオマス 魚貝類、昆布類、植物プランクトンなど
農林水産系バイオマス 農林水産業の生産活動の中で発生するバイオマス 林地残材、間伐材、製材所の廃材(端材、おが屑、樹皮など)、建設廃材(木屑)、古紙、籾殻、稲わら、麦わら、バカス、畜糞尿、屠場残渣、水産加工残渣など
廃棄物系バイオマス 人間の生活行動や二次産業・三次産業の活動によって廃棄物として発生するバイオマス 有機汚泥、パルプ廃液、食品加工残渣、使用済み食用油、生ごみ、下水汚泥など
バイオマス利用状況による分類
分類特徴内容
廃棄系バイオマス 廃棄物として発生しているバイオマス 食品廃棄物、家畜排泄物、建設発生木材、下水汚泥など
未利用系バイオマス 資源として利用されずに廃棄されているバイオマス 稲わら、籾殻、間伐材など
資源作物 資源としての利用を考えて栽培されたバイオマス でんぷん系作物、飼料作物など
バイオマスの形態による分類
分類特徴内容
乾燥系バイオマス 水分をあまり含まず乾燥しているバイオマス 木質系バイオマス(林地残材、間伐材、製材残材、建設廃材、剪定枝など)、稲わら、籾殻、ユーカリ、柳など
含水系バイオマス 水分を多く含んでいるバイオマス 水生植物、家畜糞尿、下水汚泥、生ごみ、食品加工残渣など
その他 繊維質、でんぷん質、油分を含んでいるなどの特徴を持ったバイオマス 糖・でんぷん(いも、とうもろこし、さとうきびなど)、セルロース(古紙など)、植物油(菜種油、廃食用油など)

Q4. バイオマスは、他の物質と比較してどのような特徴がありますか?

バイオマスには、以下のような特徴があります。そのため、パーティクルボードや機能性炭などの原料や、燃料としての活用が進められてきました。

  1. 再生可能である
    • 石油や石炭などの化石燃料と違って、適切な管理を行えば、枯渇することなく、永久に使いつづけることができます。
  2. 賦存量が大きく、地域的に偏在していない
    • 未利用バイオマスの量が多く、地域的に偏っていないため、利活用の可能性が広がっています。
  3. エネルギーとしての貯蔵がしやすい
    • バイオマスは、風力発電や太陽光発電と比較して、気体(ガス化)や液体、固体(チップ化)などへの転換によって、貯蔵や輸送がしやすいという特長があります。
  4. カーボンニュートラルである
    • 管理をきちんとして持続的に活用していけば、大気中の二酸化炭素の濃度を増加させないため、地球温暖化の防止に役立ちます。
  5. その他の面でも相対的に環境にやさしい
    • 石油や石炭に比べて硫黄などの大気汚染物質の発生量が少ないことや、有機物であるため、廃棄がしやすいという利点があります。

Q5. どうしてバイオマスが注目されているの?

特にバイオマスが近年注目されてきたのは、平成14年の12月27日に、バイオマス・ニッポン総合戦略が閣議決定されてからですが、この中で「バイオマスに対する4つの期待」として、バイオマスの活用がなぜ大切なのかが述べられています。それは、①地球温暖化の防止、②循環型社会の形成、③競争力のある我が国の戦略的産業の育成、④農林漁業、農産漁村の活性化の4つです。特に、地球温暖化防止については、京都議定書の第1約束期間である2008年〜2012年の間に、我が国は1990年の二酸化炭素と比較して6%削減すると国際的に約束をしましたが、生産活動が拡大し、生活水準が上がっていく中で、二酸化炭素を削減することは大変な努力が必要です。しかし、たとえば、家畜糞尿にしても、炭素はどこから来たかといえば、空気中の二酸化炭素を植物が固定したものを家畜が食べてできたもので、二酸化炭素を増やすこともなければ減らすこともないわけです。このことをカーボンニュートラルと呼んでいますが、石油や石炭の代わりにバイオマスをエネルギーとして活用していけば二酸化炭素の増加を防ぐことができるというのが、現在バイオマスが注目されている最も大きな理由です。これ以外にも、最終処分場の逼迫などから、ごみをできるだけ少なくし、資源を効率的に循環利用することが求められてきていることも、バイオマスの利用が期待されている点です。また、景気がなかなか回復しない中で、環境に関する技術開発を進め、我が国の戦略的な産業として育成、確立していくことや、地域における産業を振興し、雇用を拡大させていくことなどの面で、バイオマスの活用が期待されています。

バイオマス・ニッポン総合戦略4つの期待
  1. 地球温暖化の防止
  2. 循環型社会の形成
  3. 競争力のある我が国の戦略的産業の育成
  4. 農林漁業、農産漁村の活性化

Q6. バイオマスは資源としてどのくらい活用されているの?

製材所で発生する残材のようにエネルギーや堆肥として90%程度、利用されているものもありますが、バイオマスの種類によって利用率にはばらつきがあります。特に、家庭から発生する厨芥類などは、大半が焼却処理され、活用されていません。 こうしたこともあって、バイオマス・ニッポン総合戦略では、2010年を目処に、廃棄物系バイオマスについては、二酸化炭素の炭素量換算で80%以上利用することが、また、未利用バイオマスについては、二酸化炭素の炭素量換算で25%以上利用することが目標にされています。

バイオマスの利用状況
対象バイオマス年間発生量利活用の状況
家畜排泄物 約9,100万トン 堆肥利用 約80%
食品廃棄物 約1,900万トン 肥料・飼料としての利用 10%未満、残り90%が焼却・埋め立て処理
廃棄紙 約1,400万トン 古紙として回収されず、その大半が焼却
黒液(乾燥重量) 約1,400万トン ほとんどがエネルギー利用(主に直接焼却)
下水汚泥 (濃縮汚泥ベース) 約7,600万トン 建設資材・堆肥利用 約 60%
埋め立て 約40%
製材工場等残材 約610万トン エネルギー・堆肥利用 約 90%
林地残材 約390万トン ほとんど未利用
建設発生木材 約480万トン 製紙原料、ボード原料、家畜敷料等への利用 約40%
農作物非食用部(稲わら、籾殻等) 約1,300万トン 堆肥、飼料、畜舎敷料等への利用 約30%

Q7. バイオマス・リファイナリーって何ですか?

バイオマスの利用を考えるときのひとつの考え方がバイオマス・リファイナリーです。リファイナリー(Refinery)とは、精製や精錬するところという意味ですが、化学反応や生化学反応などによってバイオマスの付加価値を高めて、製品やエネルギーに変換することを指しています。バイオエタノールやキトサンなどを抽出しての利用は、バイオマス・リファイナリーの例としてあげることができます。

Q8. 生分解性プラスチックって何ですか?

バイオマス・リファイナリーのひとつで、主として飼料用とうもろこしでんぷんなど、穀物でんぷんから作られ、使用状態ではプラスチックと同じ機能を持ち、使用後廃棄されたときには、土中や海水中などの微生物により分解され、最終的に水と二酸化炭素になるプラスチックのことをいいます。 透明性のものから不透明なものまで、また、柔らかい(軟質)ものから硬い(硬質)ものまで、通常の汎用プラスチックの同じものができますが、熱に弱いことと値段が高いこと(通常のプラスチックの3〜5倍の値段)が課題となっています。 しかし、石油からできるプラスチックと比較して、カーボンニュートラルであること、焼却しても有害物質は発生しないこと、そして何よりも土中に廃棄したときに微生物で分解されることなど環境負荷の低いプラスチックとして、さらなる技術の開発が期待されています。

Q9. バイオマスのカスケード利用って何ですか?

バイオマスを利用する際のもうひとつに考え方が、カスケード(Cascade)利用です。カスケードとは、滝という意味ですが、バイオマスをまず原料として活用して製品として利用し、それが劣化したときに、燃料として利用するというように、段階的に質の高いリサイクルから、質の低いリサイクルへとくりかえし利用し、バイオマス資源を大切に使おうというものです。 たとえば、木屑をパーティクルボードとして利用し、ボードとして利用できなくなったものを燃料として利用するなどをカスケード利用の例としてあげることができます。 同じような意味で、付加価値の高いものから順に使っていこうという考え方を示したものに「バイオマスの5F」があります。以下に示します。

Q10. バイオマスエネルギーってどんなものがあるの?

バイオマスをエネルギーとして利用する方法としては、木屑のようにバイオマスをそのまま燃やして燃料として用いるほか、ガス(気体)やバイオディーゼル燃料、バイオエタノールなどの液体にして利用する場合があります。バイオマスエネルギーとして、以下のような方法があります。

バイオマスエネルギーの抽出方法
方法概要対象となるバイオマス
直接燃焼 焼却炉で直接燃焼することによって発電や温水の熱源などに利用する。 木質系バイオマス(林地残材、間伐材、製材残材、建設廃材、剪定枝など)
熱分解ガス化 酸素の少ない環境で水蒸気を混合しながら蒸し焼きにし、発生したガス(メタン、水素、一酸化炭素の混合ガス)化する)をエネルギー源として利用する。 木質系バイオマス、草本系バイオマス(稲わら、さとうきびの絞りかす、牧草など)
メタン発酵 発酵させ、生じたメタンガスで発電機を動かし発電する。発電の際に発生する余剰熱は暖房や給湯に用いる。 ウェット系バイオマス(生ごみ、家畜糞尿、下水汚泥など)
エタノール発酵 酵母を用いてアルコール発酵させてできたバイオエタノールを自動車燃料や工業用原料に用いる。 間伐材、さとうきびの搾汁などの糖質、とうもろこしのようなでんぷん質のバイオマス
エステル化 植物油を触媒を用いてバイオディーゼル燃料とグリセリンに分離し、自動車燃料や発電に用いる。 廃食用油、菜種油など

Q11. バイオマスを事業として活用するのは難しいのですか?

バイオマスが、これまでどちらかといえばあまり利用されてこなかったのは、活用するために解決しなければならない課題があったことがあげられます。最も大きな課題は経済性です。バイオマスは、通常、広く薄く分布しています。そのため、バイオマスの活用を事業化するためには、一定量のバイオマスを効率良く経済的に集めなければなりません。また、こうしたこともあって、バイオマスをせっかく原料やエネルギーにしても、石油や石炭などに比べて割高になってしまう場合が多いという問題もあります。 したがって、こうした点を解決していくためには、産業界、行政、市民、大学などが協力していくことが必要です。しかし、このような課題を克服しながら、上手に事業を進めていくところが、我が国でもたくさん出てきました。それぞれの地域の特徴を生かしながら、バイオマスの活用を一層拡大していくことが求められています。