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イタリア・バイオマスの形態別利用

  • 固形バイオマス
  • 気体バイオマス(バイオガス)
  • 液体バイオマス(バイオ燃料)

固形バイオマス

固形バイオマス利用のほとんどが、木質バイオマスによる熱利用です。バイオマスによる熱利用は、イタリアにおけるバイオエネルギーの9割以上を占めているほどです。熱を効率的に使うことができる地域暖房施設は、イタリア北部で順調に増えています。また熱利用だけでなく、発電やコジェネレーション(電熱併用)への関心も高まっています。

熱利用

熱としての利用は、家庭での利用から事業所、地域での利用まで、様々な規模で実用化されている。バイオマスによる熱供給を推進しているのは、法律10号と、税金上の優遇(IRPEFの控除とIVAの減税)。チップやペレットは薪に比べて扱いやすいだけでなく、すでに化石燃料より安く入手することができるため、今後も需要の伸びが予測されている。

家庭での利用

家庭レベルでは薪ストーブや暖炉における熱利用が一般的。10〜15kW規模のストーブや暖炉、ボイラーなどは既に一般的に出回っている。化石燃料の価格が上昇している上、バイオマス暖房施設の導入に対する税制上の優遇措置もあるため、買い替え時にはこうしたバイオマス利用製品を検討する人が増えている。こうした小規模のバイオエネルギー利用状況を測定するのは非常に困難だが、ENEAの統計によると、1400万〜2000万トンの木質バイオマスが家庭用の暖房に使われている。薪に比べて扱いやすいチップやペレットが市場に出回り始めたことも、家庭での木質バイオマス利用が増加している理由である。メーカーも、熱効率の良いストーブやボイラーの開発に余念がなく、家庭における熱需要はバイオエネルギーでまかなえる割合が増加するだろう。

事業所での利用

製材業や食品加工業では、生産の過程で残渣や副産物といった廃棄物系および未利用系バイオマスが発生する。工場内で出る残渣や副産物を、構内の冷暖房や、加工プロセスに必要な熱として使っている。企業は自社の光熱費や処理費を削減できるばかりでなく、余剰電力や熱を販売することもできる。こうした事業所におけるバイオマス利用に関する最近のデータはなく、もっとも新しいのはENEAによる1993年の調査結果だが、1993年の時点では全国で1300ほどの施設で、約2600MWの熱を供給していた。事業所レベルの熱効率は75-80%で、個々の施設は0,5〜20MWの規模である。事業所で発生する残渣や副産物の利用可能量は業種によって異なるが、光熱費の削減や売電による増収につながるのであれば、事業所におけるバイオマス利用は今後も増えていくだろう。

地域での利用

地域暖房施設とは、主に木質バイオマスの燃焼によって温められた触媒(主に水)を、近隣の家庭に配管を通じて供給する施設のこと。地域暖房施設は、近年急激に増加しているが、中でも冬期に気温が低いBolzano、Piemonte, Lombardy, Vald’Aosta,Trentoといったアルペン地方での伸びが大きい。こうした地域では冬の熱需要が高く、また木質バイオマスの賦存量も多いため、初期投資分の費用が短期間で回収できる。

現在稼動している地域暖房施設の数は41。合計193MWの熱が固形バイオマスによって供給されている。Bolzano地方にはそのうち30もの地域暖房施設が集中しており、総長65kmに及ぶ配管を通じて1175戸に熱を供給している。消費する木質バイオマスの量は、年間約67.400㎥で、年間80GWhを供給している。

このように地域暖房施設が増えている理由は、気候や地理的な条件だけでなく、経済法L388/2000とL448/2001によって、山間地における地域暖房施設の導入が支援されているからである。具体的には、末端消費者に対する熱価格の引き下げ(0,026ユーロ/kWh)と、導入の際に1kWあたり約20ユーロ(約2700円)が支援されている。地域暖房施設は、個々の家庭でセントラルヒーティングをするよりも熱利用効率がよく、維持管理のコスト負担も減ることから、今後もさらに増えることが予測されている。地域暖房と発電を組み合わせたコジェネ施設もあるが、大規模のところばかりである。

発電またはコジェネレーション

イタリアにおけるバイオマス発電は、電力市場の自由化や、再生可能エネルギーの買い取り義務制度(CIP6/92)が発効したことで普及が始まった。現在もっとも普及しているバイオマス発電施設は、固形バイオマスの燃焼によって発生した蒸気でタービンを回すタイプだが、このタイプの施設は、発電力が1MW以上にならないと採算が合いにくい。発電力が1MWの施設なら、含水率35%の固形バイオマスを1日約25トン必要とする。1トンのバイオマスは平均すると約50ユーロ(約7000円)で、その価格は多少上昇傾向にある。バイオマスによる発電の場合、廃熱の利用率を上げないと不利だが、コジェネ施設は初期投資が大きいことから、1MW規模では普及が進んでいない。

2003年の時点で、バイオマスによる発電施設は31あり、年間約350万トンのバイオマスを使って、約312MWの電力が作り出されている。1施設あたりの規模は平均すると10MWの発電力で、年間7500時間の稼動で1.7TWhの電力を供給している。(小規模な施設や、自家消費用の発電施設は除く。)

ここ数年で、20〜30MW規模のコジェネレーション施設が計画されるようになった。これほどの規模になると、年間20万〜30万トンの燃料が必要になるが、バイオマス資源の分布を考えると、計画されている全ての施設が建設されることはないだろう。長期的に見れば数十個の施設ができると期待されている。

気体バイオマス

気体バイオマス(=バイオガス)は、家畜糞尿や下水汚泥、生ゴミなどを嫌気性発酵させることで発生します。このバイオガスによって熱や電気が作られています。バイオエネルギーの中でも、バイオガス施設による発電量の伸びは最も多く、特に支援制度はありませんが、バイオマスの賦存量としてはもっとも多いため、今後も増えることが予測されています。「期待の星」であるバイオガスの利用状況をまとめました。

家畜糞尿によるバイオガス

家畜糞尿によるバイオガス施設の主目的は、家畜糞尿を処理することである。バイオガスは副産物であるため、エネルギー利用の採算性は低いが、「糞尿を処理するついでに」ガスが出てくることから、それで良いと思われている節もある。

家畜糞尿によるバイオガス施設は、80年代の初頭に広く普及したことがある。ENEAが1983年に行った調査によると、当時60箇所以上のバイオガス施設が稼動しており、20箇所以上が建設中であった。しかしその後数年で伸びは止まり、現在ではほとんどの施設が使われなくなっている。主な原因は、発酵後の液肥にあった。当時、大規模に養豚をしていた農家の多くは糞尿の処理に困っており、その解決策としてバイオガス施設を作ったが、当時の技術では発酵した後の液肥に窒素やリンが多く残っていたため、農地に撒くには量の制限があり、排水として流すにはミネラル分が多すぎたのである。

80年代後半になると、ガスタンクや貯蔵施設の屋根にプラスチック性のカバーを用いた、つくりが単純でローコストの施設が登場し、バイオガス施設が再び脚光を浴びるようになった。メーカーによる調査によれば、1999年から2003年の間に約30のこうした施設ができた。1999年の調査では、個別農家が所有するバイオガス施設は全国で150箇所あり、地域で発生する家畜糞尿を集めて処理する施設が5箇所あった。これら施設のほとんどは、イタリアの北部に集中している。

イタリアにおける家畜糞尿バイオガス施設はほとんどが豚の糞尿を使ったものであり、牛の糞尿によるものはごく一部(14箇所。すべてBolzano地方にある)。異なる材料を混ぜて使うバイオガス施設の数も多くない。集中処理施設の中には下水汚泥や産業廃棄物系生ゴミを処理するものもある。

こうした農家がつくるバイオガス施設では廃熱が比較的有効に利用されており、集中処理施設は全てコジェネによって電気と熱を供給している。その他、チーズ工場に連結しているバイオガス施設が21ヶ所ある。バイオガスはチーズ工場のボイラーで燃焼され、有名なパルメザンチーズなどの製造過程に熱として利用されている。

下水汚泥・事業系生ゴミによるバイオガス

他のヨーロッパ諸国と同様、バイオガス施設はもともと大きな都市の下水処理施設として発達した。2000年の調査によれば、約120のバイオガス施設が下水処理場にあり、約2150万人の下水を処理している。

また、蒸留酒製造所や砂糖工場、果物ジュース・果糖工場などの食品加工業でも、残渣(生ゴミ)を利用したバイオガス施設を作っているところがある。

埋立地から発生するバイオガス

ゴミ処理場や埋立地で発生するメタンガス(=バイオガス)を使った発電施設もある。CIP6/92によって促されたこのタイプの施設は、合計約100MWの発電所が建設許可を得ている。GRTN(National Transmission Grid Operator)のデータによれば、89箇所のバイオガス施設があり、約128MWの発電力がある。これらの施設で、年間566GWhの電気を作っている。理論上はゴミ処理場や埋立地から発生するバイオガスによって1,000MWの電力が発電できる計算になるが、実際はその3割くらいが実現可能な量だと言われている。2008〜2012年の間に、200〜300MWの施設が作られる見通しである。

液体バイオマス

イタリアは、BDF(バイオディーゼル=軽油代替燃料)の生産量がドイツ、フランスに次いで多いことで有名です。それなのに、イタリアではガソリンスタンドでBDFの表示を見かけることがあまりありません。ドイツでは1200箇所以上のスタンドで普通に売られていることを考えると、妙な気がするほどです。イタリアのバイオ燃料事情はどうなっているのでしょうか?

BDF

2002年にEU全体で生産されたBDFは100万トンを越えた。1992年と比べると15倍以上に増えている。イタリアではそのうち約20%にあたる21万トンが生産された。イタリアでは、BDFは主に暖房用の燃料として利用されているが、最近は車両での利用も始まった。イタリアのBDF事情についてまとめた。

免税措置について

バイオ燃料に対する国の支援プログラムは特にないが(バイオ燃料国家プログラム【PROBIO】は2001年で終了している)、EUの政策として年間30万リットルまでのBDFに対して免税措置がとられている(経済法L388/2000による)。2002年には、フランス、イタリア、イギリスがそれぞれバイオ燃料に対する差別化消費税(differentiated rate of excise duty)措置の申請をし、欧州連合の理事会で認可された。イタリアの場合は、1998年7月1日〜2001年6月20日の期間に実施されたパイロットプロジェクト(BDFの使用条件に関する試験、年間12.5万トンまでの免税)が継続されたもので、免税の対象は年間30万トンにまで増えた。具体的な内容は、以下の通り。

  • 適用燃料:BDF5%あるいは25%配合自動車燃料
  • 消費税率:5%配合の場合、1kリットルあたり362.6ユーロ(約45円/リットル)、25%配合の場合、1kリットルあたり286.3ユーロ(約36円/リットル)
  • 適用期間:2001年7月1日から2004年6月30日

原料

BDFの原料となる主な植物油は、ナタネ油、ヒマワリ油、ダイズ油で、国産の原料は3分の1程度。植物油の価格が市場価格に占める割合は高く(約8割)、免税措置がなければ軽油との競争力はない。

イタリアでは主に休閑地政策の対象地約9000haで非食用のナタネとヒマワリが作付けされている。ナタネは主にイタリアの南部から中央部で小麦の代替作物として栽培されている。ヒマワリは食用にも栽培されているが、休閑地におけるBDF用ヒマワリの栽培面積は55,000ha。需要が伸びている一方、非食用油脂作物の作付け面積は減ってきている。非食用の油脂作物を栽培しても、EUによる補償の額では食用との差額を埋められないことが原因である。

1994年〜1996年にかけて休閑地の25%でナタネやヒマワリが栽培されていたが、1999年には6%に減少した。94-96のブームは、BDFの免税措置(174法、125,000トン分)が決定されたのを受け、石油会社が宣伝やキャンペーンをしたことによって起きたもの。当時、大手の石油会社がナタネの栽培原価を下げるため、補助金をつけて粗放的栽培方法をすすめたが、収量が上がらず、非食用作物によって得られていた収入が減少した。休閑地手当てをもらって何も栽培しない時と変わらない位にまで減収したため、石油会社はキャンペーンを中止し、農家は栽培をやめた。その後、1997年から1999年の間に、農業者、流通業者、BDF生産者等の間でナタネおよびヒマワリの種の価格協定が結ばれた。これによってバイオ燃料の原料供給を安定化し、バイオ燃料市場を拡大させることが狙いだった。価格は、ヒマワリの種が1トンあたり145〜150ユーロ。ナタネが1トンあたり160〜165ユーロ。この価格協定の効果もあり、ナタネやヒマワリは再び栽培されるようになった。

イタリア政府はエネルギー作物の栽培面積を20〜30万haに増やしたいという目標を掲げているが、現在のところ10万haにも至っていない。政府の目標である20〜30万haの内訳は、BDF用油脂植物が12万ha、バイオエタノール用作物が7万haで、残りが固形バイオマス。非食用の油脂植物栽培が農家にとって充分なメリットを生むような仕組みが模索されている。

生産

2001年には、8箇所のプラントで12万5000トンのバイオディーゼルを生産した(生産可能量は年間50〜60万トン)。自分たちで作ったナタネからBDFを作って農業に利用している小規模のバイオディーゼルユニットもある。こうした小規模の施設でつくられたBDFの品質は、市場に出回っているほどよくないケースもあるが、トラクターエンジンをつくる多くのメーカー(Ford, Case, John Derre, Deutz Fahr, Mercedes-Benz, Same)が検査をし、BDFの利用を認めている。

利用

BDF市場は急激に成長している。これまでほとんどのBDFは家庭用暖房に使われてきた(100%で使うこともあれば混合して使うことも)。しかし、車両での利用も増え始めている。現在は軽油に5%混ぜた状態での利用が中心だが、今後は20-30%混合で走る車が増えるだろう。一方、3000軒以上の暖房がもっぱらBDFでまかなわれている

今後の動向

2003年にイタリアの燃料会社Novaolとフランスのマクドナルド社が協定を結んだ。年間1,200MTの廃食油をNovaolに提供、バイオディーゼルに精製してイタリアに輸出される。

バイオエタノール

実験的に作られた精製工場がひとつあり年間9万トンを生産が、国内ではほとんど需要がないため、ブラジルやスウェーデンに燃料として輸出されている。MTBE生産のプラントは3つあり、調整をすれば年間30万トンの生産キャパがある。農業残渣からつくるバイオエタノールは60戸の農家(特に小規模な蒸留酒製造所やワイン農家)により生産されている。