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イタリアのバイオマス資源

バイオマス資源の種類は気候や地理的な条件によって異なりますが、イタリアにおいて代替エネルギーを供給できるようなバイオマス資源には、以下のような種類があります。

  • エネルギー作物
  • 木質バイオマス
  • 農林業残渣、関連産業の残渣
  • 下水汚泥、糞尿

これらのバイオマス資源を全て合わせると、イタリアには年間約23Mtoe(石油換算メガトン)のバイオマス資源が存在している計算になります。しかしこれは潜在的に利用可能な量であり、現実の利用はこれをはるかに下回っています。しかし、少なくとも潜在量の50%は利用できるようになるだろうと言われています。

エネルギー作物

バイオマスエネルギーを増やしていくためには、エネルギーとして利用することを目的として栽培する「エネルギー作物」が大きな役割を担う。エネルギー作物は栽培に時間と費用を必要とすることから、残渣の利用に比べると解決すべき課題が多い。しかし、エネルギー作物を休閑地や耕作放棄地で栽培することで、土壌浸食の防止や水質の浄化にもつながる。EUでは農産物の過剰生産を抑制するために休閑地政策を実施しているが、食物連鎖に入らない作物であれば休閑地でも栽培してよい。エネルギー作物は、こうした休閑地の代表的な利用方法である。エネルギー作物の栽培には、バイオマスを増やす以外にも多くのメリットがあるため、EUやイタリア政府は今後増やしていきたい考えだ。

農地で栽培するエネルギー作物には、別表のような種類がある。エネルギー作物の収穫量は、栽培する種類によって大きく異なるため、資源量を試算するのは難しい。

こうした作物のほとんどは既存の技術や機械を使って栽培できるが、ヤナギやポプラ、ユーカリ類といった成長の早い多年性作物に関しては、栽培技術や機械化の研究が現在進められている。こうした多年性の作物は、一度植えると10~15年も収穫できることから、低投入で栽培できるエネルギー作物として関心が高まっている。化石燃料を代替することによる温暖化ガスの削減に加え、エネルギー作物は成長の過程で二酸化炭素を吸収するため、温暖化防止効果が大きい。

木質バイオマス

Italian Institute of Statistic (イタリア統計局)によると、イタリアは国土の22.4%(6.821.281ha)が森林である。森林面積の約1.9%(127.316ha)が毎年伐採され、約990万㎥の材木が供給されている。その半分以上(年間約597万㎥)が薪や木炭としてエネルギー用に使われている。

薪の生産量は以下の図で分かるとおり、州によって大きな差がある。

上記の統計には、家庭で利用されている薪の量は含まれていない。ENEAが1999年に行った調査によれば、年間約2100万トンの木質バイオマス(薪、チップ、ペレット、ブリケット)が家庭で消費されている。木質バイオマスによる熱利用は既に化石燃料との競争力を持ちつつあり、熱供給10~100kW規模のストーブや暖炉、ボイラーが市場に出回っている。燃料としての木質バイオマスは1㎥あたり約64ユーロ(約8000円)。化石燃料の価格は上がっているため、時には木質バイオマスより2~3倍ほど高くなる。家庭におけるバイオマス暖房施設の導入には優遇措置もあるため、木質バイオマスの需要は今後も伸びるだろう。

農林業および関連産業の残渣

農林業や関連産業からはさまざまな副産物や残渣が発生する。これらの副産物や残渣の多くはエネルギーとして利用することができるが、現在のところあまり利用は進んでいない。国がこうした残渣や副産物の可能性を正確に評価していないこともあるが、イタリアには小規模な農家が多いため(45%の農家が1ha以下の耕地面積)、農林業残渣を集めたり、エネルギー利用できる形態にしたりするのに必要な機械を導入できないことも大きな原因である。現在のところ、農業残渣のほとんどは伝統的な方法で利用されたり、焼却されたりしている。

農業残渣に比べて林業残渣の利用は進んでおり、イタリアは近隣諸国から輸入しているほど。

また、農林業から発生する副産物の利用可能量は年間で795万トン(乾燥重)もあるため、今後の利用促進が望まれている。

A.I.G.R.(Italian Association of Geneo Rurale:現在は改名してA.I.I.A.=Italian Association of Agricultural Engineering)の調査によると、農林業および関連産業から発生する副産物・残渣の合計は年間1700万トンにも及ぶ。こうした副産物や残渣の利活用を増やすことは今後の課題である。尚、この数値は乾燥量であるため、エネルギー量は石油の40%になる。つまり、1700万トンの残渣・副産物バイオマスは、おおよそ7Mtoeのエネルギーとなる。

下水汚泥、糞尿

下水汚泥や都市ゴミによる発電またはコジェネ施設は、非常に大きな可能性を持っている。固形物は燃焼により、液体やスラリーはメタン発酵により、それぞれ年間2Mtoeと8Mtoeのエネルギーを供給する可能性を持っている。