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政策と制度

欧州連合は地球温暖化防止のために目標を掲げ、対策を講じています。温暖化ガスを削減するための具体的な方法として、化石燃料に代わり再生可能なエネルギーを増やしていくこと、中でも「カーボンニュートラル(二酸化炭素を排出しない)」と見なされるバイオマスエネルギー(以下バイオエネルギー)の利用促進を目指しています。

イタリアもEU加盟国。イタリアに課せられた「2010年には温暖化ガス放出を1990年のレベルより6,5%削減する」という目標を達成するため、様々な政策や制度によってバイオエネルギーの利用を促しています。こうした政策や制度をまとめました。

政策・目標

バイオエネルギーの利用を増やすための政策や目標には、以下のようなものがある。

  • EUの政策・目標
  • 国家エネルギー計画(Piano Energetico Nazionale)
  • 新エネルギー白書(ENEA、1999)
  • 農業政策省(Minister of the Agricultural and Forest Policy)による政策・目標

EUの政策・目標

EUでは「バイオマスの利用を増やすことは京都議定書の目標を達成するために不可欠である」という共通した認識があり、また、農業振興や国土保全にもつながるとして重視している。EU委員会の2001/77/CE条は、再生可能なエネルギーによる電力の増加を決めたもの。EU全体として再生可能エネルギー供給量を1997年レベルの6%(対1次エネルギー供給量)から2010年には12%に引き上げることを目標に掲げている(White Paper for a Community Strategy and Action Plan “Energy for the Future”)。目標が達成された場合、1次エネルギーの総供給量に占めるバイオエネルギーの割合は7%にまであがる。またグリーンペーパーによると、2020年までに輸送用燃料の20%を代替燃料で供給することを目標に掲げている(its 2000 Green Paper Towards a European Strategy for the Security of Energy Supply)。加盟国はそれぞれ、目標を達成するために必要な政策を打ち立てることが義務づけられた。

国家エネルギー計画(Piano Energetico Nazionale)

イタリアにおけるエネルギー基本政策を示したもの。

国家エネルギー計画は、第1次石油危機を契機として1975年および1977年に策定された。その後何度か改定され、1988年に閣議決定されたものが現在も続いている。国家エネルギー計画を実施するため、1991年に二つの法律が制定された。

  • 法律9号:PENの主だったポイントを定めたもの(民間の自家電力生産企業の余剰電力に関するもの)
  • 法律10号:州が策定する地域エネルギー計画に再生可能エネルギーの利用を含めるための法的根拠(省エネ・新エネに関する投資促進融資制度に関するもの)

法律9号を元にして、物価問題閣僚会議(CIP)は新エネルギーおよび類似エネルギーによって生み出された電力の販売価格(当時はENELへの譲渡価格)を決定した(CIP6/92)。CIP6では、新しく施設を建設した場合、操業開始から8年間は優遇料金が適用されるため、それまで自社用に発電していた民間企業は喜んでコジェネレーション発電施設を設置または増設し始めた。このような現象を生んだCIP6は、新エネルギーの利用を増やすことに成功したといえる。1995年には「電力・ガス伊当局庁」という国家機関が設置され(法律481号に基づく)、新エネルギーによる電力の価格を定めるようになった。1999年には電力市場の自由化を定めたベルザーニ法が制定されたことで、コジェネレーション施設の設置はさらに進んだ。電力市場の自由化に伴って民営化されたENEL(伊電力公社)に代わり、2004年からは伊電力網管理会社(GRTN、国庫省100%の国家機関)がCIP6の電力を購入・譲渡している。

法律10号により、人口5万人以上の自治体は、「地域エネルギービジョン(Regional Energy Plan)に再生可能なエネルギーを利用するための計画を盛り込まなければいけないと定められたが、制定10年後の2001年には約20%の対象自治体しかタウンエネルギープラン(PEC)を策定していなかった。一方で、法律10号を根拠とする補助金(約310x106ユーロ)によって、様々な研究やプロジェクトが実施されたのも事実である。国からの補助制度はなくなったが、法律10号は今でも州や地方自治体において資金繰りの根拠となっている。

地域エネルギービジョンの策定が遅々として進まないことを受け、1998年には法律112号が制定された。同法は地方自治体の新しい役割を定めたもので、エネルギー政策実施を州や地方自治体が責任を持って実施すべき権力の地方分権化を謳っている。また州や地方自治体は化石燃料の売上収入のうち1%を再生可能なエネルギー利用の開発や実践に当てることが義務付けられた。これにより、地域エネルギービジョン(Regional Energy Plan)や地域環境計画(Regional Environment Plan)の策定が進み始めた。

【コラム:CIP6の「類似エネルギー」】

CIP6では再生可能なエネルギー(太陽、風力、バイオマス等によるエネルギー)の他に、類似エネルギー(石油精製や天然ガスから発生する廃棄物発電など)も優遇料金の対象になっている。このため大手の製油企業は、類似エネルギーによる電力の販売によって年間20億ユーロという莫大な利益をあげている。イタリアの電気料金は他の国々に比べて高く、CIP6の優遇制度はその電気料金の一部から捻出されているため、化石燃料を代替する新エネルギーに対象を絞って優遇料金を適用すべきだと言う声が消費者から出た。

新エネルギー白書 (ENEA、1999)

新エネルギー利用に関するガイドラインと目標を定めたもの。10年間で再生可能なエネルギーの利用を現在の12Mtoeから24Mtoeに倍増することが明文化されている。

バイオエネルギーによる電力は2008年から2012年までの間に2.000MW増え、加えてバイオガス施設により300MWの電力が生み出されると予測している。この白書が編集された1999年には200MW、2000年には240MWが、そして2001年には300MWの発電施設がそれぞれ導入された。しかし目標値には及んでいない。


(出典:ITABIA2003)

コジェネによる廃熱利用状況は把握が困難なため、上記のデータには含まれていない。コジェネ施設は大規模になりがちなため、熱の供給先も広範囲になり、ロスが大きい。

農業政策省(Minister of the Agricultural and Forest Policy)の政策と目標

農業政策省は様々な国家政策の中で新エネルギーや環境に関する内容を盛り込むことに貢献してきた。

EUの新エネルギー白書とイタリアの新エネルギー・グリーンペーパーで示されたガイドラインに従って、98年に 「バイオマスによる新エネルギー計画(PNERB)」を策定。同計画では、2012年までに8〜10Mtoeのエネルギーを農林業から発生する様々なバイオマスで生み出すことで化石燃料の消費を減らし、温暖化ガスの削減につなげることを目標としている。

1999年に策定された「農林業系バイオマスの価格安定にむけた国家プログラム(PNVBAF)」では、休閑地におけるエネルギー作物の栽培面積を20万〜30万haにまで増やすことを目標にした。