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1. きっかけは身近な地域の問題意識でした

ここは、とある北国の田舎町「めぐる町」。

ある日の午後、町役場の農政担当課に勤める野比さんは、ふと仕事の手を休め、ぼーっと外を眺めていました。季節は秋、役場の窓から見える水田の収穫作業ももう終盤です。つい先日まで一面に風にそよいでいた金色の稲穂ももう残り少なくなってきました。風に乗ってコンバインのディーゼルエンジンの音が聞こえてきます。山の頂にはうっすらと雪化粧が始まっています。

おや?その手前で白い煙がもうもうと上がってきました。

「野焼きだな。」

あのあたりは、友蔵じいさんの田んぼだ。今年から公害防止条例で焼いたらだめなことになったってあれほど言っといたのに・・・

やがて、日が翳り始めると、そこかしこの水田から白煙が上がり始めました。町の中心を通る国道も白煙で視界が悪くなって、渋滞してしまいます。この時期になると喘息の子供たちが増えると診療所の先生も苦々しげに話していました。

そして、もうじき雪の積もる長い冬がやってきます。この地域では、水田に稲わらを漉き込んでもうまく発酵しないので、春になるとガスが出て、あまり土づくりには良くないらしい。農協の指導部長が言うには、きちんと堆肥にして田畑に戻すのがいちばんだとか。

今度の農業委員会の会議で相談してみよう・・・。

2. 『もったいない』からはじめよう!

農業委員会で、野比さんは稲わらを集めて有効活用することを提案しました。すると・・・

「いやいや、野比さんはそう言うけどさ。このあたりの農家は高齢者ばっかりなんだよ。集めるのも一苦労なんだ。しかも回収して産業廃棄物にしてしまったら処理に金がかかるだろう?手間もお金も『もったいない』から、田んぼで燃やしてしまうのが手っ取り早いんだよ。」この地で30年農家をしているリーダー格の剛田さんが反論しました。

『もったいない・・・』その言葉が野比さんの心に残りました。もったいないのはお金だけじゃないぞ、モノだって、ヒトだって、土地だってまだまだ使えるものがこのまちにはたくさんあるじゃないか・・・。野比さんの胸には、むくむくと情熱が沸いてきました。

「いずれにしても野焼きの煙は公害として禁止されたんだから、何か他の方法を考えなきゃいけないだろう。それに、稲わらだって燃やしてしまったら『もったいない』だろう?ダメダメって否定するだけじゃ何にも先に進まないよ。農家が損しないように集める手間賃が出て、うまくすれば儲けになるような方法を、みんなで考えようじゃないか」

かくして、野比さんの音頭によって、のちに「めぐる型バイオマスタウン」と呼ばれる循環型まちづくりへの取り組みが始まったのです。