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5. シンボル的事業の重点的導入推進へ

めぐる村バイオマス戦略では、5つのバイオマス事業を第一段階のシンボル事業としました。

  1. 稲わら
  2. もみ殻
  3. 家畜排せつ物
  4. 間伐材・製材端材
  5. 菜種廃食油

事業選択の理由は、①資源発生量が多いこと、②可及的速やかな対策が必要であること、③生産コストの低減につながること ④原材料としての安定供給が可能であること、⑤技術開発がある程度進捗していて実用性が高いこと ⑥バイオマス関連施策以前に、経営構造対策事業や、環境保全型農林水産業の推進 などの名目で既に施策体系ができており、支援施策の選択肢が広いこと、 ⑦商工業など連携する他事業への波及効果が大きいことが挙げられます。

また、設備導入に際しては、農業振興地域整備計画、農地法、土地改良法、都市計画法といった立地に関わる法規制(立地計画の基本留意点を参照)や、 肥・飼料取締法、農薬取締法、食品リサイクル法、廃棄物処理法等に基づく諸手続き(肥飼料土壌改良関連法を参照)が必要となるので、各自治体において、 こうした制度についてのガイドラインが整備されていますから、これらについて事前によく理解しておくことがスムーズな導入促進のために重要です。

特に、5つ目の菜種廃食油については、町内に増えつつある遊休農地をどのように活用するかという議論から生まれた社会実験事業となっています。町民が比較的簡単に参画できる上に、春になると一面に黄色く咲き乱れる菜の花は景観的にも美しいので、観光資源としても期待できます。さらに、全国的な広がりを見せている「菜の花プロジェクト」に地域として参画することで、他地域との交流を深めることも期待できるからです。

事業計画者のための着眼ポイント

(4) シンボル事業の導入推進

基本戦略の策定で、地域バイオマス資源の明確化、導入可能な事業の方向性を得ることが出来たら、 その中でも比較的短中期的に取り組み可能な優先順位の高い事業をいくつか選択し、重点的に推進する。 また、技術動向にも十分注意し、他地域の先行事例となるような中長期的な事業を実証実験として 重点的に推進することも地域のバイオマス利活用の全体的な推進に有効である。

6. 事業実現性の戦略的向上と煩雑な事前手続きへの対応

北国である芽来町の冬は厳しい。そんな雪に閉ざされた冬期にも農業を行う方法はないだろうか。冬期のハウス農業では暖房コストが大きな課題となります。そのエネルギーを賄う為にバイオマスや自然エネルギーを利用することはできないだろうか・・・。

町内のバイオマス資源でエネルギーにすることのできるものとして、始めに候補にあがったのは、乳牛の牛舎、養豚場から出る畜糞でした。さらに、森林組合からは、製材端材やバーク(表皮)を使ったバイオガス発電が提案されました。

そこで、平成16年度、町内で必要なエネルギーを可能な限り自前でまかなうための技術開発を継続して検討するため、「地域新エネルギービジョン」の策定に取り組むことにしました。エネルギー関係の支援事業には経済産業省(NEDO)のものが活用できます。新エネルギービジョンが策定されている地域では「新エネルギー導入促進事業」が利用可能になるのです。

調査を開始してみると、先行事例と言われるバイオガス発電プラントはどれも億単位と非常に高価で、 町や事業者だけでは到底手の出るものでは無いことがわかってきました。また、その事業採算性の計算には、 なぜか売電を目的としたものしかありませんでした。おまけに、大規模な設備のいくつかは、予定していた原材料が集めきれず、設備の稼働率を上げるために、海外から安価なバイオマス資源を輸入しようというところまであるのです。地域の資源循環が本来の目的であったはずですが、これではもはやなんのための設備導入なのかよくわかりません。

また、エネルギー利用や販売のためには電気事業法や ガス事業法、 高圧ガス保安法、 消防法の危険物製造所・貯蔵所・取扱所の設置許可申請などの法規制や届出、そしてそのそれぞれに資格取得者の確保が必要であったりと事前の手続きが山ほどあることもわかってきました。これらを全て過不足無くそろえるだけでも優に半年はかかってしまいます。野比さんは疑問に思いました。

「何で電気を売らなければいけないんだ?使う分だけエネルギーを作ればいいじゃないか」

北海道などで行われている集約的なバイオガスプラントや、売電でその初期投資を賄うような大規模な風力発電は、もとよりめぐる町のスケールには見合わないようです。周辺の町村と連携した事業検討も交通インフラや輸送コストの問題が大きく、現段階ではまだハードルが高いと考えられました。

そこで、少し発想を変えて、バイオマス関連をはじめ実用間近の先端エコエネルギー利用技術を民間から公募し、専門家の評価を得られた技術を、町内のいたるところで「寒冷地実証実験」として実証導入することで、町全体を新しい分散型の資源循環技術の発信拠点として機能させ、段階的な拡大を図ることがビジョンの中で提案されました。もちろん、実証施設で作られる農産物は新しい「めぐるブランド」産品として流通します。結果、自律分散型のエネルギー利用による「越冬農業」が様々な方法で実現するというシナリオです。

そして、畜産排せつ物を利用した小型バイオガス燃焼システムを、メーカーと共同開発することになりました。

さらに、ビジョンの中には、木質バイオマスのガス化利用や、雪氷熱を利用し農産物を「冷やす」ことで出荷時期を調整したり、旨みを増す雪下野菜をつくるなどの高付加価値化を図る「雪おにぎり」プロジェクト。発電量が10kw以下の、電気事業法の規制を受けない規模の発電設備を町内に数多く設置すること。たとえば、地吹雪を防ぐ防風柵を利用した超小型風力発電や、農業用水を利用した小型水力発電、寒冷地でも高効率な太陽光発電の導入。菜の花から作られた菜種油を食用利用の後回収し、BDFに加工してトラクターなどの農業機械に利用することなどが検討されました。

事業計画者のための着眼ポイント

(5) 事業開発のパートナー作り

既に実用段階にある利活用技術については、メーカによって大きな格差が出ることは少ない。 この場合、もちろん入札時の価格が安価であることは重要であるが、 さらに、運営面での提案(資源回収・貯蔵のコスト低減、事前の行政諸手続き等への対応、運営事業体の組織づくり、 保守メンテナンスと起こり得るリスクへの対応、施設を活用した付加価値のある派生事業など) を含めた総合的な評価に基づく事業者パートナー選択が必要である。 営業担当者は通常、自社商品のデメリットについて積極的に説明しようとはしないものである。 慎重になりすぎて事業の進行を遅らせるのも困るが、情報を鵜呑みにせずいくつか代替案を検討する 姿勢を常に持っておくことが大事である。