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各種補助事業の活用、立地計画に際して事前に抑えておくべき留意点

国の農業関係各種補助事業は、関係部局が横の連絡調整を図りながら、それぞれの立場から国の政策目標を達成するため企画・立案し、制度化されているものである。しかし、実際、末端の事業実施段階において、横の連絡調整が必ずしも十分に行われていない事例も見受けられる。市町村においては、「市町村振興計画」等に基づいて各種事業の調整を図りながら計画的、効率的に事業を進めていくべきである。

一方、最近の経済社会の多様化を背景として、補助事業一つ進めるに当たっても色々な法律上の規制や制度上の制約があるため、これらを十分に配慮しつつ、調整もしくは所要の手続きを了しながら補助事業を計画しなければならない。

事業実施段階で、関連法令等及び、類似事業の担当課と密接に連絡調整を図ることが重要である。

また、建物建設、機械等を計画する場合は、地区内における類似施設の有無、既有機械の導入状況、施設の利用状況、利用形態、耐用年数、導入方法等を十分精査、検討の上、施設、機械が過大、又は過剰とならないよう十分配慮しながら事業計画を策定することが大切である。以下、実施計画の策定に当たっての基本的な留意点について整理している。

1. 事業主体の事前準備について

(1) 農協の場合

  1. 農協は施設整備の長期計画に基づき、理事会等で施設の必要性、財務状況、施設の規模、設置場所等について、十分検討する。
  2. 農協は、都道府県の事業担当課から事業の実施についての内諾を得た後、都道府県の農業経済担当課と財務改善計画等の策定に関する事前協議を行う。(事業費が増大した場合は改めて行うものとする)
  3. 原則として、施設等の建設導入年度の前年の総会において、固定資産取得計画および事前協議を行った財務改善計画等の承認を得る等、組合員の総意が反映された決定がなされなければならない。
  4. また、既に総会の承認を得てあっても、実施設計等の段階で、施設規模や事業費が増大したりした場合には再度総会の承認を受けるようにする。
  5. 一方、総会の承認を得た固定資産取得計画、財務計画について、事業実施計画の段階までに、都道府県農業経済担当課と協議を了することが必要である。
  6. 一方、固定資産取得計画及び財務改善計画等については、総会の承認を得た後事業実施計画の段階までに、関係書類を添えて都道府県農業経済担当課に提出しなければならない。
  7. ただし、農協合併の場合は、事業に係る基本事項は、合併経営企画書に記載されているため協議の必要は無く、事業費が増大する場合に限り改めて協議する。

(2)農業者の組織する団体の場合

原則として、農協の場合の手続きに準ずるが、その場合、取得する建物等の事業費、規模、国庫補助金、自己負担金、借入金等について、書面で明確にし、総会、役員会で承認を得なければならない。

(3) 市町村の場合

当該市町村が定める条例、規則等に基づいて予算措置の上、議会の承認を得て事業に着手する。

2. 建物施設の立地計画に際して

(1) 施設用地の選定

  1. 用地の選定にあたっては、建物の種類、規模、利便性、道路状況等を勘案しながら、用地の広さ、形状等を決める。なお、建設予定地付近での地耐力調査等の試験データがある場合には、十分その結果を利用して検討することも必要である。
  2. 建物の種類によっては、騒音、ゴミ、水質汚濁等のについて検討を加え、場合によっては、事前に、地域住民の同意を得たり、環境影響調査等の所定の手続きを進める措置も必要になる。
  3. 用地選定にあたって、関連する主な制度に次のようなものがあるので、手続き等に遺憾の無いよう留意する。

(2) 関連する主な法律等

1. 農業振興地域の整備に関する法律

(ア)農業用施設を建設する場合は、その施設の種類及び設置場所に係る地域の立地条件等を総合的に検討し、農業振興地域の一体的整備の観点から、農業振興施策のうち、用途区分、「農業用施設用地」に建設することが原則である。

(イ)建設場所が同胞で定められた土地の用途区分に合致しない場合は農業振興地域に導入し、かつ「農業用建設用地」の用途を設定する等、農振制度との調整を了しておくことが必要である。(法13条 整備計画の変更)

(ウ)農業振興地域整備計画の変更手続き

1)事前協議

2)認可申請

2. 農地法

(ア)当該地域に適当な施設用地を確保できず、やむを得ず農地に建物の建設を予定する場合は、同法第4条、もしくは第5条に基づいて、当該用地の転用許可を受けなければならない。

(イ)また、その予定地が「農地転用許可基準」(34農地第3353号(農)34.10.27次官通達)からみて転用が相当と判断される場所でなければならない。

3. 土地改良法

(ア)国庫及び都道府県補助金の交付を受けて国営、都道府県営、団体営等により、土地改良事業を実施したほ場を、やむをえない事情により施設用地に選定する場合は「土地改良事業の受益地の転用に伴う補助金の返還措置について」(44.5.24 44農地A第826号)等により、補助金の返還措置を講じる手続きをしなければならない。

なお、同通達には、補助金返還を要しない場合等の特例措置もあるのでよく検討することが必要である。

(イ)また、ほ場整備前であれば、あらかじめ、農業用共同利用施設用地、公共用地等を計画に組み入れ、いわゆる「創設換地」(同法第53条)の手法により施設用地を捻出することが土地改良法において認められているので、これの活用を図るべきである。

 

4. 都市計画法(開発許可)

(ア)予定している施設用地が都市計画地域であって、その土地の区画、形質の変更(開発行為)をしようとする場合は、都道府県知事の許可を受けなければならないことになっている。(法令29条)

(イ)ただし、同政令法第19条、20条、21条に定めのある場合にはこの限りではない、との規定もあるので、よく検討すること。

青森県農林部編 補助事業の進め方 第3章 事業実施計画の策定(平成11年3月)に加筆修正