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品質規格と品質管理システム

ドイツやEUの規格では、BDFが満たすべき品質の基準値が設定されています。

ドイツの規格とEUの統一規格

ドイツにおけるBDF規格化の策定作業は、連邦食料農林省の管轄の下、石油専門委員会(FAM: Din-Fachausschuss Mineralöle)によって始められました。1994年には現在の規格の前身であるV DIN 51 606が誕生し、これを基に改善したのが1997年9月にBDFの規格として正式に認められた「E DIN 51 606」と呼ばれる規格です。

ドイツに遅れること3年。1997年にEU委員会はCEN(ヨーロッパ規格化委員会)にBDFの規格化を委託しました。EU委員会は再生可能なエネルギーを増やしていく政策を打ち出しているため、BDFについても規格を整えることで普及を目指そうと言うことです。これにより、ドイツ国内で採択されていたBDF規格であるE DIN 51 606はその役割を終えることになりました。

BDFの規格化は、BDF利用を大幅に増やすために不可欠なステップです。品質が安定していなければ、車のメーカーがBDFを支持しないからです。せっかく消費者がBDFを使いたくても、対応車が少なければ利用者は伸びません。日本でもBDFの規格化が議論されるようになりましたが、日本のBDF利用は廃食油の再利用から始まっているため、品質を一定にするのは簡単ではありません。軽油代替燃料としてBDF利用を大幅に増やすためには規格化を避けて通ることはできませんが、廃食油回収に始まる草の根的な活動を尊重する形で議論する必要があります。

段階別品質管理システムについて

BDFを生産する際に満たすべき規格はできましたが、BDFが消費者の手に渡るまでこの品質が保たれなければ意味がありません。1999年に発足したBDF品質管理研究会(AGQM)は、品質管理システムの確立を急ぎました。そして、生産者から乗用車の保有者までの関係者がそれぞれ守るべき項目を挙げた5段階の管理システムが誕生しました(以下主な項目を抜粋)。

第一段階: 生産者

国内の規格(E DIN 51606)もしくはEUの規格(pr EN 142 14)を満たす菜種油メチレスターから製造したBDFをガソリンスタンドに提供することや、抜き打ち検査には協力することが義務付けられている。それに加えて、以下のような遵守項目がある。

  • 酸化安定度を増すための添加剤を加える義務
  • 生産者をはっきり示す商標付け
  • 適切な生産時期:粘度が上がりやすい冬期用の品質を正確に評価するため、冬期は検査を受ける4週間以内にBDFを生産。
  • 含有水分量は、たとえEUの規格がE DIN 51606の限界値(300mg/kg)より緩くなったとしても、現況の300mg/kgを維持。これによって、出荷や流通過程で水分が多少増えても、基準を満たすことができる。
  • 添加剤の使用量は2%まで

生産者は出荷したBDFについて、無告知の抜打検査を受ける場合がある。検査に合格しない場合は、品質保証マークの使用が禁止され、更にその後協会からの指導を受ける。なお、協会は4万ユーロまでの罰金を科すことができる。

第2段階:流通業者・貯蔵

  • 品質管理対策:
    • 貯蔵中に品質が変化しないような方法での貯蔵
    • 入庫及び出庫時の記録付け
  • 輸送:
    • BDFが石油燃料と混入しないような輸送
    • 輸送車に積む前の検査
    • BDFを積む前に輸送用タンクを洗浄
    • 以上の条件を満たしていることを、運転手と確認

第三段階:ガソリンスタンド

ガソリンスタンドは消費者に最も近いという点で、品質管理には大きな責任を持つ。2001年にガソリンスタンド業者による品質保証作業グループが発足した。この作業グループによって作成された品質保証マークは、ドイツおよびオーストリアでBDFを取り扱う全ガソリンスタンドで目にすることができる。この品質保証マークを貼るガソリンスタンドは、

  • 非通知の検査に対して協力する
  • 特定の(信頼できる)生産者、輸送業者からBDFを買い取る
  • BDFに関する情報をスタンドに置いておく
  • 基準を満たさないスタンドは、UFOPや BDF品質管理協会の名前で宣伝してはいけない

第四段階:消費者

消費者は、BDFインフォサービスによりBDFの品質に関する最新の情報を入手できる。AGQMは、BDF利用者に対し、品質管理の動向について関心を持ってもらうよう呼びかけている。

第五段階:問題発生時のシステマチックな処理

品質の向上やその保証については日々努力を重ねているが、それでもBDFの利用に対する苦情がゼロになることはない。BDF品質管理協会は、なるべく多くの修理工場や研究所との協力体制を築き、一つ一つのケースに素早く対応できるよう努めている。また、類似の苦情が増えた場合には早急に原因を究明し、新たな指標や検査項目を設定するようにしている。